映画「ヒトラーの忘れもの」を鑑賞して
2015年ドイツ・デンマーク合作映画、「ヒトラーのわすれもの」をDVD鑑賞。
久しぶりの良作だったので、感想でも書いてみようかと。
「 戦争」と「地雷」というキーワードの組み合わせで、残酷な内容であることは容易に想像出来る。
そこに、「少年兵」というキーワードが加わることによって、それは、もはや救いようのないレベルにまで到達してしまう。
はっきり言って、残酷極まりない作品。
少年兵たちがデンマークの地で、ナチスドイツが残していった地雷原の処理をひたすらおこなっていくという話。
もちろん、少年であっても彼らドイツ人には人権など微塵も考慮してもらえない。
あまり知られていない、敗戦国ドイツの知られざる「被害者」としての側面。
本来国家が負うべき責任をまだ未成年どころか、10代半ばの少年兵たちが背負わされるという矛盾。
しかし、これはれっきとした史実。
つまりは事実なのである。
戦争はこうも人々の心を冷酷、無慈悲なものに変えてしまうものなのか?
少年兵が地雷に吹き飛ばされて重傷を負い、泣きながら母の名を叫ぶシーンに人間という生き物の持つ「業の深さ」感じずにはいられなかった。
人間の心の奥底に潜む、残忍さを見事に描いた良作。
でも最後にちゃんと希望の光が差し込むシーンが…。
第89回アカデミー賞(2017年)受賞作品というのも十分頷けるもの。
今の平和な時代が、いかに過去の多くの犠牲の上に成り立っているのかを考えてほしい。
祖国ドイツの復興を夢見ながら、異国の地で果てていった少年たちの無念を考えると涙が止まらない…。
それにしても、こういった過去における負の部分をデンマークとドイツとで合作出来てしまうところが、ヨーロッパという地の成熟さ加減がわかろうもの。
アジアもいい加減、後ろ向きの姿勢から脱却しないと。
いつまで過去の呪縛に囚われているのだ。
2017.12.22